紫陽花
紫陽花を見に来ない?と
母に誘いの電話をかけたのは
上の子の修学旅行と
英検が終わった翌日だった。
今年はすごく忙しいから駄目。
紫陽花は沼の遊歩道で見るわ。と断られた。
そんなあ、引退したのに
娘と紫陽花も見れないってどういうこと?
ちょっと憤慨したが、
母には母の付き合いがあるんだろうと納得した。
それから三週間して、
実は手首を骨折したんだ、と電話があった。
何ですぐ言ってくれないの?
びっくりしてすぐ実家まで飛んでいった。
母は包帯を首からさげて結構元気そう笑う。
指は紫で痛々しい、でもずっと良くなったんだよ。
近所の方にお世話になって
病院に行ったり、一皿をいただいたりしたそうだ。
二人で囲んだ食卓にもあふれるほど
そんな一品が並んでいて
母のご近所とのおつきあいの感じが
いい雰囲気で伝わってくる。
昨日はね、いつもママのエプロンの陰で
恥ずかしそうにしている男の子が
一人で息を弾ませて駆けて来て
たくさんシャボン玉を吹いてくれたのよ。
彼女も声を弾ませてそんな話をしてくれるので
こちらも心が弾む。
翌朝、洗濯物を干している
男の子のママに会ったので
あのシャボン玉は母の気持ちを
七色に輝かせてくれたみたいですよ、と言ったら
やさしい笑顔で微笑み返してくれた。
本当にありがとう。
これから10年は自分一人で生活したいから
どこまでご近所に助けられながら
自分でやっていけるか試したかった、と母。
そんな前向きで頑張り屋の母を見て
新しくできた公園の池にくる
トンボ達みたいに共存するっていいな、と思った。
家の中に閉じこもって梅雨空みたいに
ぐちゅぐちゅしていた自分に
すかっと一発
喝をいれられた出来事だった。
by 4halfmoonbay
| 2010-07-05 08:36
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